後立山南部(長野) 爺ヶ岳中峰(2669.9m)、南峰(2660m) 2024年8月31日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:57 柏原新道登山口−−3:26 一枚岩(標高2000m)−−4:33 種池山荘−−5:21 爺ヶ岳中峰 5:38−−5:53 爺ヶ岳南峰−−6:23 種池山荘−−7:05 一枚岩(標高2000m)−−7:51 柏原新道登山口

場所長野県大町市/富山県中新川郡立山町
年月日2024年8月31日(土) 日帰り
天候曇時々雨
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場登山口付近に駐車場あり。ただしハイシーズンの週末にはすぐに満車になってしまう
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望南峰、中峰とも邪魔するものがなく晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント台風10号が西日本で迷走のさなかに悪天覚悟で登山。往路、復路とも雨に降られたが幸いにして森林限界の稜線では大した雨ではなく、傘で雨をしのげた。山頂到着直前は薄っすらと月が見えるくらいだったが山頂到着後はガスに覆われて霧雨が降ってきた。ガスの影響か少なくとも7羽の雷鳥に出会えた。この天気なので下山時にすれ違ったのは10人しかいなかった。登山口に到着する頃には本降りの雨になっていた





見かけた花と開花状況

花の種類

場所

開花状況

テンニンソウ 柏原新道登山口 花盛り
オオカニコウモリ 柏原新道下部 終わり〜花盛り
イワショウブ 柏原新道下部 花盛り
ハクサンオミナエシ 柏原新道 ほぼ終わり
サラシナショウマ 柏原新道 花盛り
ホツツジ 柏原新道 ほぼ終わり
カライトソウ 柏原新道中部 花盛り
リョウブ 柏原新道中部 ピークを過ぎたかな
カニコウモリ 柏原新道中部 ほぼ終わり
アザミ 柏原新道 花盛り〜終わり。細かな種類は分からない
ミヤマアキノキリンソウ 柏原新道〜稜線 稜線ではほぼ終わり、柏原新道でピークを越えたくらい
ゴマナ 柏原新道上部 花盛り〜ほぼ終わり
ヒトツバヨモギ 柏原新道上部〜種池山荘 花盛り?
ミヤマコウゾリナ 柏原新道上部〜稜線 ほぼ終わり
オヤマリンドウ 柏原新道上部〜稜線 終わりに近い
ハンゴンソウ 種池山荘付近 終わりに近い
ハクサンフウロ 種池山荘付近 1輪だけ咲き残り
ミヤマキンポウゲ 種池山荘 1輪だけ咲き残り
アオノツガザクラ 種池山荘付近 数輪が咲いていた
ヤマハハコ 柏原新道上部〜稜線 既にドライフラワー化しているのか?
ミヤマリンドウ 稜線 花盛り
トウヤクリンドウ 稜線 終わりに近い
コマクサ 南峰〜中峰間鞍部付近 ほぼ終わり
この他にセリ科、タデ科、ユキノシタ科の花が複数種類咲いていたが、私の知識では種類が判別不能でここに記載していない


柏原新道登山口前駐車場。2台しかない 小雨とガスの中を登る
種池山荘 南峰登りの途中から振り返る
南峰を巻いて中峰に向かう 一時的にガスが切れて中峰が見えた
中峰直下で雷鳥登場 爺ヶ岳中峰山頂
トウヤクリンドウは終わりに近い 1羽の子供を連れたメスライチョウ
ウラシマツツジは紅葉開始 コマクサは散る寸前
爺ヶ岳南峰山頂 1羽の雄と5羽の子供雷鳥。もしかしたら1羽は母雷鳥かも
雄の雷鳥 こちらは子供
雄雷鳥は登山道に飛んできて100mほど先導 クロウズコの実
シラタマノキの実 ヤマハハコ
狂い咲き? アオノツガザクラ お花畑は黄色くなりつつある
ミヤマリンドウ。まだ朝早いので閉じたまま オヤマリンドウ
ミヤマキンポウゲの残骸 種池山荘
ガズが切れて僅かに展望が開ける ハンゴンソウ
ハクサンフウロ ヒトツバヨモギ
アザミ ミヤマアキノキリンソウ
爺ヶ岳南峰はガスから出たようだ ガラ場
ミヤマコウゾリナ ゴマナ
草刈りした跡 アカモノの実
サラシナショウマ ゴゼンタチバナの実
カニコウモリ 雲の切れ間から針ノ木岳が顔を出した
カライトソウ リョウブ
扇沢駐車場はガラガラ ホツツジ
ハクサンオミナエシ 扇沢は工事中
イワショウブだと思う オオカニコウモリ
テンニンソウ 対岸の駐車場は数台
登山口前駐車場は3台。本降りの雨になった


 今週はノロノロの台風10号のおかげで天気を見極めるのが非常に難しかった。週の頭の予報では金曜日位に長野を通過して土曜日には天気が回復するはずだったが、日を追うごとに台風の進みが遅くなって金曜日の時点で長野接近は来週の月曜から火曜日まで遅れることに。週末の土曜から日曜日の台風の推定位置は四国から紀伊半島付近の予報になり長野から比較的離れているが、台風の直接の影響ではなく湿った南風の影響で離れた場所でも大雨が降り続いていて長野でも好天は全く期待できない。ちなみにこの週は週末にかけて静岡県内で大雨が続いて数日間も東海道新幹線が止まったままという異常事態だった。

 日曜日の方が台風がより接近するので天候が悪化しそうだが、直前の予報では日曜日の方が雨が降る確率が低くなっていた。ただし、この時点でも1,2日先の台風の進路が定まらず迷走状態で、進路によっては予報が大きく変わる可能性もあるだろう。リスクは土曜の方が低いと考えて雨の確率が高いが土曜日に出かけることにした。複数の予報を確認したが半数程度が雨で半数程度は早朝のみ曇りで午前の早い時刻から再び雨の予報だった。風はさほど強くはなく気温は高めで標高3000mで+11℃前後の予報だった。

 出かける先だが、雨の確率が高いので山頂直下まで樹林が続いて傘が長時間使える蝶ヶ岳をまず考えたが、近場の爺ヶ岳の予報を見たら蝶ヶ岳とほぼ変わらなかったし、雨の降り出しは南の方が早い予報もあって爺ヶ岳に決定。この場合、森林限界を越える稜線に出てから山頂まで距離がそれなりにあり、風があると稜線で傘が使えないのでゴア着用で登ることになるので、汗かきの私では汗だくになってしまうのが嫌なところ。登りの稜線で雨に降られないことを祈ろう。予報では午前3時〜6時が一番天気がマシなので、日の出の時刻に山頂に達して午前6時には下山開始としよう。

 台風が接近しつつあり予報が悪いこともあり、金曜夜の柏原新道登山口駐車場はガラガラで1台しか車が無かった。というかこの天気で入山している人がいるのはちと驚きだ。予報では今夜も雨のはずが意外にも降っていなかった。このまま明日まで持てばいいが。日中から天気が悪くて日差しが無く気温が低かったので、先週と違って登山口は涼しくて快適に寝られた。

 翌朝は午前1時半に起床して午前2時に出発。山頂到着は日の出直後の午前5時半の予定だ。車の中では気付かなかったが外に出ると霧雨が降っている。今回は雨に降られるのは確実なので雨装備はしっかりと持ったので、いつもより少し荷物が多かった。おそらく山頂では雨なので休憩はできないだろうから防寒装備は不要であろう(雨の中で着替えは面倒)。日差しが無いので水も少量でいいだろう。手袋は防水手袋を追加する。

 先週よりも気温が低いとはいえ湿度が高いので最初から汗が出て扇が大活躍する。すぐに霧が出てLEDライトの光が目の前で散乱して視界を邪魔して歩きにくい。霧が出ているということは雲の中にいるはずで、通常、雲の厚さはせいぜい数100mなのでそのうちに雲の層を抜けるだろう。次の雲の底が山頂より高くて稜線でガスっていなければいいのだが。霧雨は弱くて樹林帯に入ったら傘は不要だったが、30分くらい歩いたら雨が強くなってきて傘を差しながら歩く羽目に。悪い方の予報が当たってしまったようだ。このままずっと雨だったらイヤだなぁと考えながら歩いていたら30分程度で止んでくれた。登山道は思ったよりも水溜りはなく、雨量はそれほど多くなかったようだ。雨が止んでも上空に星は全く見えない。低い雲に邪魔されて扇沢駅の光も全く見えなかった。

 アザミ沢、ガレ沢を通過して種池山荘に到着。幸いにして雨は降っていないが小屋の前は無人であった。小屋の中の食堂には従業員の姿があるだけで、駐車場があの状況では宿泊者はかなり少なかっただろう。小屋にはガスはかかっておらず、思ったよりも天気がいいかもしれない。花が終わったお花畑を抜けて稜線上に出ると意外にも東の空には雲を通して薄っすらとだが月が見えているではないか! しかも鹿島槍の山頂には雲がかかっておらず予想外に天気がいいようで、今のところ雨の心配はなさそうだ。爺ヶ岳北峰付近に2つの光が見えるが、光の見え方からして冷池山荘から種池山荘方面へ向かっている登山者らしい。

 矮小なシラビソ樹林を抜けると冷たい南寄りの風が強くなって体感温度が下がったのでゴアの上着を羽織って低いハイマツ帯を上がっていく。ここは雷鳥が多い場所だがまだ暗いので姿は見えず、蛙のような雄の鳴き声だけが聞こえていた。

 最初は爺ヶ岳南峰には雲はかかっていなかったが徐々に雲がかかるようになってしまった。山頂到着時はガスの中で展望は無いかなぁ。でももしガスっていなかったとしても鹿島槍以外の周囲の山々は雲に隠れて見えていないけど。雨が降っていないだけでもマシだろう。往路では南峰はパスして中峰に向かう。鞍部のトウヤクリンドウはほぼ終わりで、しつこく咲き残っていたコマクサもほぼ終わりだった。そろそろ夏の花は完全に終了の時期だ。

 縦走路を離れて中峰の分岐点で雌雷鳥の鳴き声がしたと思ったらバタバタと短距離を飛んで登山道付近に着地し、ちょっと歩くとその姿を見ることができた。そこから少し登るとアジア系の若い外国人登山者2名が下っていった。北峰直下で見えていた2つの光の主に違いない。富士山ほどではないが近年は北アルプスでも外国人登山者を目にすることがあるが、まだライトが必要な時間帯に会うのは初めてだ。雨が降る前に扇沢に下山するのだろうか。

 無人の爺ヶ岳山頂(中峰)に到着。残念ながら山頂はガスに覆われていた。もう日の出の時刻は過ぎているが、ガスが出る前に見た東の空は雲に覆われていたので、どのみち日の出は見えなかっただろう。雨が降っていないので小休止してパンを齧っていると風に乗って雨が落ちてきたので傘を差して急いで撤収して下山を開始した。まだガスがかかったままだがこの頃にはライト不要な明るさになっていた。

 山頂付近のミヤマコゴメグサはもう消滅して萎れかけのトウヤクリンドウのみ。まだまだ気温は高いがウラシマツツジは赤くなり始めていた。草の高山植物も黄色くなり始めて徐々に紅葉の雰囲気が出てきているが、ナナカマドやミネカエデなどの樹木の方は紅葉の気配はまだ無し。昨年に引き続いて今年も猛暑だったし、秋も高温予報なので紅葉は例年よりも遅れそうだ。これだけ高温だと昨年同様に紅葉の鮮やかさは無いかもしれない。

往路で雌雷鳥がいた場所にはまだ雌雷鳥がいて子供が1羽だけいた。子供がいる雌雷鳥は特徴的な声で鳴くので発見しやすい。この子は今の時期にしてはまだ小さく、生まれた時期が遅かったのかもしれない。

帰りに爺ヶ岳南峰に立ち寄るがこちらもガスに覆われたままだった。ガスの中を種池山荘へと下っていくと意外にもこの天気でも登りの登山者数人とすれ違った。時刻的に考えて種池山荘宿泊者に違いない。

 ガスが出ているので他にも雷鳥がいるかと周囲を見ながら下っていたらハイマツが覆う北斜面から雄の鳴き声が聞こえた。ハイマツの中にいる雷鳥は見えないので期待しないで声のした方向を見ると、ハイマツの切れ間に合計6羽の雷鳥がいるではないか! 黒っぽい1羽は鳴き声の主の雄雷鳥のはずで、残り5羽は色からして雌雷鳥か子供だろう。子供と言ってもこの時期はもう親と変わらぬ大きさになっている。

 通常、雷鳥の子育ては昭和の日本のように父親は参加せずに母親のワンオペである。だから雷鳥親子を見かけても雄の姿(羽根が黒っぽいので判別可能)は見えないのが普通であるが、この親子は例外だ。残り5羽の中に母親がいるのか分からないが、雄雌揃って子育てしているのなら非常に珍しいケースである。雄雷鳥はグェーと鳴いて飛び立って登山道へ出てきて、私を先導するように100mほど登山道上を歩いて下っていった。おそらく子供から人間を引き離すためにこんな行動に出たのだろう。雄雷鳥が子育てに参加しないのは目立って天敵を引き寄せないためとの説がある。

 地を這う背の低いハイマツ帯から矮小なシラビソ帯に入るとクロウズコの実が多く見られる。まだ明るい紫色で熟していない実もあるが、黒っぽい紫色になったものは食べ頃だ。背の高いハイマツ帯を抜けて登山道が稜線の南側に移ると草紅葉が始まったお花畑。狂い咲き?した数輪のアオノツガザクラと早朝でまだ開いていない多数のミヤマリンドウ、変色しかけたオヤマリンドウの他は咲いている花は無し。

 種池山荘前で防寒用のゴアを脱いで涼しい格好になってから下山開始。同じく下山し始めた山荘宿泊者を追い越すとしばし無人地帯。好天の週末ならこの時刻でも登りの登山者とそれなりにすれ違うのだが、今日は登山口までですれ違った登山者は10人しかいなかった。下りで追い越した登山者の数の方が多かったと思うが、この時間でこれだけの下山者がいたのは初めての経験だ。おそらく雨が降る前に下山しようとの思惑だろう。

 稜線はガスがかかっていたが山荘前から下り始めるとガスの層から抜け出して視界が開ける。やがて爺ヶ岳南峰が見えるようになり稜線のガスも切れたようだ。標高を落としていくと谷の反対側の蓮華岳、針ノ木岳、スバリ岳が雲の隙間から見えることもあり、一時的でもこのまま天気は回復するのかと思ったら標高1800mくらいから雨が降り始めた。最初はそれほど強くなく樹林帯の中を歩くので雨具は不要だったが、徐々に雨脚が強くなって登山口近くまで下ると完全に本降りで樹林帯でも木の葉から滴る大粒の水滴で濡れてしまうほどになり傘の出番。登りの登山者は全員がゴアを着用していたが、私が同じ格好で登ったら雨で濡れるのと同じくらい自分の汗で濡れてしまうだろう。樹林帯では風がブロックされて傘が大いに役立つ。

 本降りの登山口に到着。登山口前駐車場は出発時より車は1台増えただけ。対岸の駐車場は数台が止まるだけで通常の週末より格段に車の数は少なかった。それでもこれから登る登山者の姿がポツリポツリと見られた。スノーシェッドの入口で雨を避けながら出発準備していた人もいた。この雨の中では予想だにできなかったが、実は翌日の日曜日は天候が回復して長野市街でも良く晴れたので、おそらく山の上でも好天に恵まれたと思う。種池山荘に宿泊した人は翌朝は展望を楽しめたであろう。

強い雨で車のバックドアを開けてその下で着替え。傘のおかげでゴアも衣類も濡らすこともなかったので片付けは簡単だ。車に乗り込んで下界に向かうとすれ違う車の大半が大型の観光バスでマイカーはかなり少なかったのは、通常の週末とは大きく異なる点だった。雨が降っているのは山に近い場所だけかと思ったが大町市街地付近でも雨が強いままで、雨が止んだのは長野市付近であった。その長野市も日中は雨に変わって悪天の一日だった。どうやら私が登った時間帯が一番雨が止んでいた時間が長かったようでラッキーだった。

 

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